私が大切にしていることは

8月のお盆が終わりました。

東京は7月盆ですが何かと慌ただしく、この8月のお盆にゆっくりと故人を偲ぶことができました。

というのも、今年のお盆は父の新盆だったからです。

8月はちょうど父の誕生月で、生きていたら何歳と思うとまた涙が滲みます。

 

昨年末に父のいる施設でコロナ患者が出始め、お正月に会いに行こうと思っていたところ、父もコロナに罹り、そうこうしているうちに容体が悪くなり、入院となりました。その後コロナは治ったのですが、以前から食べにくかったのがさらに食事が摂れなくなっていました。

 

お見舞い、病院との相談、施設への連絡などを繰り返し、退院してから程なくのある朝、父は静かに旅立ちました。

前日会いに行ったときは意思疎通できていたり、伯母が施設で何年も暮らしているので、まだずっといるような気がしていましたが、退院してから一週間ほどでしたので、これが看取りというものなんだとやっとわかりました。

年齢的には大往生なのでしょうが、幾つであろうと別れは悲しく、寂しいものでした。

 

ちょうどその頃はドラマ撮影が不定期に行われている時期で、父が入院してから私が心配したのは、何かあった時に撮影に迷惑がかからないように、ということでした。

昨年施設に入る前に、カフェの営業日に家で父が歩行器と共に転倒し、夕方救急車で病院に行くということがありました。その時以来、いつなにが起こるかわからないという心配は常にしていて、もし急にカフェをお休みすることになった時のために、Instagramや張り紙でのお知らせを用意しておきました。ドラマ撮影が始まってからは、急に何かあって迷惑をかけるわけにはいかないので、その場合を想定しておきました。

 

父は誰にも迷惑がかからない時を選んだかのように静かに旅立ちました。

 

そのあとは、ドラマのファンの方やご近所でドラマをご覧になった方が一気に増えたり、問い合わせがたくさんきて、その対応で毎日が慌ただしく過ぎていきました。

 

ちょうどその頃、一本の電話がかかってきました。

「東京の注目店として、インフルエンサーにSNS で紹介させていただこうという話があるのですが」

インフルエンサーと聞いて私は焦りました。

本来は喜ぶべきなのでしょうが、実際のところその頃は、急に増えたお客さまを2人で対応するのにもう手一杯だったのです。「この小さな店でこれ以上お客さんが増えたら、お待たせしてしまったり、お話しする時間がなくなってしまったり、何か迷惑をかけることになる」

私は本来の目的を思い、事情をお話しして丁重にお断りさせていただきました。

 

その後も時々なにやら営業の電話がかかってきて、お断りすると

「集客にご興味はないですか」と聞かれることがあります。

もちろんお店にとって集客は大事です。

けれども、たくさんの方にいらしていただくことも嬉しいことですが、それ以上に大切にしていることは、せっかくいらしてくださった方に良い時間を過ごしていただくことです。そしてまたいらしていただけたら、嬉しく思います。

 

カフェはもうすっかり以前のような落ち着きを取り戻し、、というより、しばらく前から金曜日は空いている日が増えてきました。

以前金曜にご来店されて混雑にびっくりされた方(私もびっくりしました)、いつもはこうじゃないんです。これからが狙い目です😁

そろそろ皆さまのお顔が恋しくなってまいりました。

9月からまたよろしくお願いいたします。