心地よい空間

この連休はとても良いお天気で、行楽日和でした。

10月も半ばというのに夏日で暑いくらいでしたね。私も日にちをずらして近郊の温泉地へ出かけてきました。緑豊かな渓流の川べりで、マイナスイオンを浴びながらコーヒーと共に本を読んでいると、細胞が生き返るような心地がします。私は時々都会を抜け出して、自然の中に身を置きたくなります。大自然の力には敵いませんが、このような心地よさを感じてリラックスしたり、リフレッシュできるカフェでありたいと思っています。

 

心地よい空間は、里葉を作った時からこだわりを持っていたところです。

おかげさまで「素敵なところですね」と内装を褒めてくださる方は多いのですが、私が特に嬉しく思ったのは、入っていらしたときに「ここは良い気が漂っていますね!」と言われた時です。それはカフェにいらしてくださった方だけではなく、撮影でここを訪れた方も言ってくださったことがありました。「気」というものは目に見えないし、意識して作り出すことができないので、そう言ってくださった事はとても嬉しかったです。

 

それはやはり草木が近くにあるので、自然の力が良い「気」となって入ってくるのかなと思います。そしてカフェを続けていくうちに気づいた事は、良い空間作りというのは、建物や内装だけを整えてもダメで、その中にいる人も大きな役割を持っているということです。私たちもですが、カフェにいらっしゃる方々がその雰囲気を作ってくださっているのだと気が付きました。カフェにいらしてくださる方はどの方も素敵で、良い雰囲気を持ってらっしゃる方ばかりなので、カフェも良い雰囲気を持った心地よい空間になっているのだと思いました。

 

カスハラ(カスタマーハラスメント)が問題になっていますが、今までのうちのスタッフさんたちも皆、「このカフェには変なお客さんは1人もいないね」と言っています。とてもありがたいことです。

たぶんいらしてくださる皆さまの作る雰囲気が、またそのようなお客さんを呼んでくださるのだと思います。

 

ちょうど1年前に開催された「まちライブラリー」(小さな図書館活動)の「マイクロライブラリーサミット」に呼んでいただき、発表したときにもその話をしました。

その時に質問してくださった主催者の方が「パブリックな空間はいろいろな人が来て大変なこともあるけれど、ここは一つの世界観を保って、開かれつつ閉じない、閉じないけれど開かれている空間」と絶妙な表現をしてくださったのが印象的でした。

 

2023年マイクロライブラリーサミットの動画

https://machi-library.org/event/detail/9365/

 

現在ちょうど「まちライブラリーブックフェスタ」の開催期間です。

来週1020()には今年の「マイクロライブラリーサミット」が西東京の「まちライブラリー@MUFG PARK」で行われます。とても素敵な空間ですので、よろしければどうぞお出かけください。

https://machi-library.org/event/detail/9668/

 

改めて、心地のよい空間とは一般的にはどう思われているのだろうかと思っていたところ、次のような文章を見つけました。

 

『東京には、新しいお店がどんどんできている。
でも、都心に行けば行くほど、つまらないお店ばかり増えている。

例えば渋谷の再開発。
大々的に街が変わっていくけど、続々とできる新しいお店は、「かっこいいけど、どこか見たことある感じ。」ばかり。
出てくる料理も美味しいけど、期待値は越えてこない、想像できる範囲内のもの。
「心が動く空間」は中々なくて、「ああ、またこういうやつね」という感覚。

その土地、その物件の元々の躯体や構造だからこそ作れる、「再現性が低い空間」に魅力を感じる。』

note  「いい空間とは何か」井澤 / & Supply より引用)

 

まさにその通り!

そういう意味では、里葉は伯母の家を改装したので、障子のあった柱はそのままだし、和室の押入れだった場所を活かすためにそこを冷蔵庫置き場にし、小唄のお師匠だった伯母の三味線置きの「くり抜き」は、電子オーブンや炊飯器の場所になっています。そのため和室だったところを全てキッチンにすることになり、客席に見合わず大きなキッチンになりました。営業的には席数を数を多くするところ、キッチンが多くを占める、通常ではないような空間、まさに「再現性が低い空間」になっています。

オープン時「こんな大きなキッチンでコーヒーしか出てこなかったら怒るよ 笑」と義兄が言っていたのを思い出します。

 

設計を相談しているとき、建築家の方がどんどんおしゃれに設計してくださるので、私は途中で「こんなにおしゃれにして浮かないかしら。おしゃれすぎないかしら。」と少し心配になりましたが、建築家の方からは「十分おうちっぽいですよ」と。そのおうち感が温かみを出し、「他にはない空間」となっているのかもしれませんね。

 

これからも心地よい空間と時間を作っていきたいと思います。