アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先) 小沢健二

私が詩人だなと思って好きなアーティストは、さだまさし、スピッツの草野マサムネ、小沢健二である。

さだまさしは、中学生の時にさだまさしを好きな仲の良い友人が、何枚もLPを買ってカセットテープに録音してくれたので、

それをよく聞いた。私の国語力をさださんの歌詞は上げてくれたように思う。当時、中学生でLPを買うなんてとてもできなかったので、その友人にはとても感謝している。

 

草野マサムネは、音楽、歌詞、声すべてがよいが、歌詞は、詩だと思う。

 

そして小沢健二。2019年11月に17年ぶりのボーカル入りオリジナルアルバム「So kakkoii  宇宙」をリリースした。

その中の一曲、「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を昨年私はずっと聴いていた。

繊細なアルペジオで始まるこの楽曲は、2018年公開の映画「リバーズ・エッジ」の主題歌である。

原作者の漫画家、岡崎京子と長年の友人であることから小沢健二が書き下ろした。

「この曲は友情だけでできている」とのこと。リバーズ・エッジ」主演の二人、二階堂ふみと吉沢亮が

Voice として参加している。

歌詞を抜粋すると、

 

〜このごろの僕は弱いから
手を握って 友よ 強く

でも  魔法のトンネルの先
君と僕の心を愛すひとがいる
本当だろうか 幻想だろうかと思う〜

 

2020年、私たちは突然、全く違う世界へ投げ込まれてしまった。

私も1年以上準備してきて、改築工事が着工というときに初めての緊急事態宣言があり、着工を延期した。

ひと月後に着工したが、いろいろと大変で、「このようなことを始めてしまって良かったのだろうか・・」

という気持ちになって、夜中に目が覚めることが何度もあった。そんな時に聴いて自分を勇気づけたのが、この曲だった。

 

〜このごろは目がみえないから
手を握って 友よ やさしく

でも  魔法のトンネルの先
君と僕の言葉を 愛すひとがいる
本当の心は 本当の心へと 届く〜

 

私もこの頃は目が見えなくなって、歳をとっていく自分の身体やら、これからのことを思い、不安を感じる時、

そんな時は、その呼びかけの気持ちがよくわかる。

そして私の想いもきっと、届く人には届くはずだ!と自分を励ました。

 

〜時々は 君だって弱いから
助け合うよ 森を進むこどもたちのように
手を握って 友よ 強く

きっと 魔法のトンネルの先
君と僕の心を愛す ひとがいる
汚れた川は 再生の海へと届く〜

 

私たちは、みんな弱い時があるよね。そんな時は、助け合って、生きようよ。

 

1996年、岡崎京子はひき逃げ事件に遭い、自力で呼吸ができないほどの重傷を負った上に意識障害が続き、

創作休止と長期療養を余儀なくされる。

 

〜日比谷公園の噴水が 春の空気に虹をかけ
「神は細部に宿る」って 君は遠くにいる僕に言う
僕は泣く〜

私もこの歌詞で泣く

 

最近の岡崎京子は、だいぶ元気になったそうだ。